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恋人のやり方がわからない 8
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気がつけば窓の外は、赤く、暗くなっていました。空には月と、点々とした星が浮かんでいます。
結局、手を繋いだだけで、終わった。
お喋りも、ゲームも、勉強も、それらしいことは何もしなかった。
そんなことがあるのか。
「成瀬、送ってく」
「大丈夫だよ、一人で帰れる……」
「俺が送りたい」
「……じゃあ、送ってもらおうかな」
「ありがと」
ありがとっ て……。
一階に降りると、五十嵐くんはお母さんに「ちょっと出かけてくる」と言いました。その言い方が妙に雑で、私は内心少しだけ笑ってしまい、それと同時に、ああ、自分は丁寧に扱われていたのだなと、遅れて自覚しました。
いや、昔の五十嵐くんって、こんなに丁寧だったか?
……まあ、いいか。
夜風が、そっと頬を撫でていきます。
「……今日は天気がいいね」
「そうだな」
「月がよく見えるよ」
「お前、月も好きなのか?」
「そうだね、結構好きかな……月も好きだし、雲とか雨とかも……」
雨……。
ふと、五十嵐くんに傘を貸してもらった時のことが浮かびました。
浸っているところを見られて、勘違いで傘を貸してくれて、初めてまともに喋ったと思ったら、その後は無言で……。
あの時は、まだ、友達ですらなかったんだよな……。
……。
急に、胸がドキドキしてきました。このままでは、緊張が伝わってしまうのではないか……と思いましたが、五十嵐くんは、小さく、「いいな、それ」と言うだけでした。
五十嵐くん、丁寧だけど、やっぱり五十嵐くんだ。
「成瀬のそういう話、もっと聞きたい」
……そういうところも、五十嵐くんだ。
「……そんなに話すようなことはないよ……五十嵐くんは?」